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【ライブレポ】UNISON SQUARE GARDEN Revival Tour "Spring Spring Spring" @大阪フェスティバルホール ※セトリバレあり


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UNISON SQUARE GARDEN Revival Tour "Spring Spring Spring"。

 

新年度とともに始まるこのツアーは、UNISON SQUARE GARDENが9年前に行った同名のツアーを文字通り"Revival"、すなわち再現することをコンセプトとしており、このような趣旨のツアーは同バンドにとっては初めての試みである。

 

この記事は4/1の大阪フェスティバルホール公演に参加した著者が、その帰路で作成したものである。

まだ興奮冷めやらぬ状態のまま、備忘録的に記していきたいと思う。

(とか言って書ききれなかったので翌日書き足しちゃった。)

 

 

注意:

この記事ではツアーのセットリストについてがっつり言及するつもりである。

これから参加する方など、セトリを知らない状態でいたい方は恐縮ながらこの時点でUターンして頂きたく思う。(参加したあと覗きに来てくれたらよろこびます。)

 

 

 

 

 

 

 

 

セットリスト

1.フルカラープログラム

2.プロトラクト・カウントダウン

3.23:25

 

4.空の飛び方

5.デイライ協奏学団

6.スカースデイル

7.誰かが忘れているかもしれない僕らに大事な001のこと

8.マスターボリューム

 

9.〈メドレー〉

ライドオンタイム、等身大の地球、MR.アンディ、CAPACITY超える、ワールドワイド・スーパーガール、コーヒーカップシンドロームセンチメンタルピリオド

(ドラムソロ)

ガリレオのショーケース

10.シャンデリア・ワルツ

11.クローバー

12.シュプレヒコール~世界が終わる前に~

13.cody beats

14.オリオンをなぞる

15.場違いハミングバード

 

〈アンコール〉

1.アイラブニージュー

2.サンポサキマイライフ

3.kid, I like quartet

 

 

 

解説・ひとこと(?)感想

会場に入ると、DVDのデザインにもなっている見慣れたSpring Spring Springの文字が黒の背景に浮かんでいた。

 

 

そして、お気付きの方もいらっしゃるかもしれないが、このセットリストは9年前の本家ツアーと文字通り全く同じである。

著者はそちらのDVDを所持していないので比較はできないが、リバイバルツアー1曲ずつの解説とちょっと(ちょっと?)の感想を述べていこう。

ちなみに本家ツアーのセトリも事前に見なかったので、ライブにはまっさらな状態で挑んだ。

 

 

*絵の具~セッション

いつもどおりのSE。絵の具と青の照明は条件反射的に背筋が伸びるし、心拍数も加速度的に上がる。会場が第一音に耳をすませて呼吸も忘れてしまう、けれど静謐で心地よい緊張感が大好きだ。

静寂を破るように始まったセッションは、(著者は)初めて聞いたのに初めてとは思えない、耳馴染みのあるもので、アイワナの入りのドラムみたいな始まり方だった気がする。

何度か口ずさまれるフレーズSpring Spring Spring~♪が印象的だった。

 

1.フルカラープログラ厶

満を持して「お待たせ」の一言から始まったフルカラープログラム。一曲目からやってこられるとセトリへの期待度もぐんぐんあがるもの。

(in the)HOUSEでは終盤に初めて披露された弥生町ロンリープラネットの前、(on the)SEATでは2曲目を任されたばかりの曲である。 

(声出しは感染予防の観点でできないのだが)絞るような叫び声が思わず漏れてしまった。

個人的にフルカラーはイントロから本当に文字通り虹色の曲だと思っていて、聞く度オーロラのような心象風景が想起される。

いつまでも完全無欠のロックンロール。

 

2.プロトラクト・カウントダウン

「君を泣かせる世界のほうがおかしいよ」「こんな時代に生れ落ちたんだ」

「一方的に状況は膠着が続いています」

「止まらない カウントダウン」

初期のUNISON SQUARE GARDENの荒削り感があって、最近ではあまりない曲調かもしれない(こういうのも大好きです)。

疾走感とともに感じられる緊迫感は、このご時世にも通じて来るところがあるように感じた。

都度触れるつもりだが、このセトリは全体的に、9年前のとは思えないほど今の我々に響いてくるフレーズが多い。

 

3.23:25

アンコールなど終盤の盛り上げを任される印象がある定番曲だが、最初のブロックの〆に組み込まれていた。こちらも(in the)HOUSE2で披露されたし、前日のSaucy Dog主催の対バンでは4曲目を飾ったばかり。もう結構熱が高まってきているのか、アウトロは向かい合ってバチバチに決めていた3人だった。

 

MC

23:25から暗転、間があって短いMC。斎藤さんがこのツアーは"完全再現"ツアー(セトリが全く同じ)であることを高らかに宣言して次のブロックへ突入。

 

4.空の飛び方

「暗すぎる世間ですが 光はまだあるようだ」

「僕らの時代ですな なら、もう苦しゅうない」

BSSSではもう今後聴けないかもしれない…と思っていたのだが、案外早く再会することができてウキウキしてしまった。イントロは泥臭いロックって感じがするのに歌い出したら爽快なメロディなのずるい。といつも思っている。

 

5.デイライ協奏学団

抜け感が癖になる一曲。メロディはぽよんぽよんしているのに負の感情を昇華させたみたいな歌詞が絶妙にマッチしている。ダイヤモンドを壊して世界中に散りばめる女の子って、ワールドワイド・スーパーガールに通ずる魅力があるよなあ。ギターソロの1フレーズをスロウカーヴは打てない(that made me crazy) のイントロにアレンジしていた。MMMツアーぶりの演奏だろうか。

 

6.スカースデイル

「今を過去にするような 二人だけの明日を作ろう」

「日々の大切さを見つけるんだ」

斎藤さんにピンライトがあたり「消えない地図が描けたなら」とギターと歌だけの1フレーズから始まっていたように思う(この曲だったか、既に曖昧で申し訳ない…)

スカースデイルは(in the)HOUSEで1番の弾き語りアレンジで披露されて以来。

 

7.誰かが忘れているかもしれない僕らに大事な001のこと

「愛している それだけ それだけで十分です」

「不安もあるけど希望もある」

会場のボルテージがまたひとつ上がるのを肌で感じた001。「大事なことは 最初からある」の裏でコーラスを歌う田淵がのびのび腕を広げるのが大好きすぎる。曲全体がポジティブな歌詞なのもあるが、新たな環境・出会いを迎える春、すなわちSpringにぴったりな1曲といえるかもしれない。大人気のカップリング曲だが、BSSSツアーでは組み込まれずFC限定イベントBSSS0でのみの演奏だった。(on the)SEATで4曲目に選ばれていた曲。

 

8.マスターボリューム

「混沌の一言じゃ すべてを片付けられないだろ」

「でも最新の物差しは僕には関係ない」

これも(in the)HOUSE2ぶり。MVを再現したような1カメ撮影の演出が記憶に新しい。大サビ前の唸り方とか、今の斎藤さんが歌うとまた音源とはだいぶ違った印象になる。この曲だったか、ステージ端の下部のライト1本で斎藤さんを照らし上げていて、会場の壁にシルエットを映し出す演出がめちゃくちゃかっこよかった。

 

MC

ここで暗転してMC。このツアーは自分たちとの対話でもあると話していた。9年前のユニゾンを知ってた方いらっしゃいます?という呼びかけに、著者が見た感じ全体の10%にも満たないくらい(もっと少ないかも)の手が上がった。同じセトリを9年越しに体験するってなかなかにすごい経験だと思うのだが、感想をぜひ聞いてみたいところだ。

次に控える約20分のメドレーを前に、当時の自分も再現しちゃおうかなと言った斎藤さん。

「付いて来れる人は付いてきて頂戴!」と、手拍子もコールも煽らないUNISON SQUARE GARDENが今や絶対言わなさそうな勢いあるセリフとともにメドレーに突入した。

 

9.〈メドレー〉

イントロから1番サビ終わりまでを、途中ドラムソロを挟んで8曲。

 

ライドオンタイム

「コマが揃う 足も動く それなら準備オッケーじゃん」

「大丈夫。まだ生きてるよ」

(on the)SEATぶり。初手のドラムから跳ねてしまう。最近は頻繁とまでは行かなくともまたちょいちょい聴ける機会が増えたように思う1曲。

 

等身大の地球

3人の頭上でミラーボールが輝いていたのが印象的。黄色の照明、曲の多幸感も相まってついつい踊らされてしまう。fth7のイズミカワソラさん公演ぶり。

 

MR.アンディ

「人一人を笑顔にするくらいならできるよ、存外に」

「今の世界を少しだけ楽しくできるよ、存外に」

これもまた踊らされてしまう曲。会場がダンスフロアに変わったような錯覚にすら陥る。前向きとも後ろ向きとも断言できないような曖昧な歌詞が大好き。MR.アンディも"少しくらいの幸せ運べる力持ち"なのかも。

 

CAPACITY超える

寝ても覚めてもおんなじ景色なら どうすりゃいいんだよ」

雰囲気がガラリと変わってCAPACITY超える。退廃的でアーバンな雰囲気ってかっこいいいですよね。メドレーだと"大嫌いなあのユニゾンスクエアなんとか"が聴けないのが惜しい。

 

ワールドワイド・スーパーガール

「せっかくですからワールドワイドの テンションでガタガタ騒ぐ」

またも雰囲気が一変。今度はエネルギッシュな楽曲が来た。もう一回、と大サビ同様おかわりする構成。カウントダウンライブ以来の披露。

 

コーヒーカップシンドローム

「雨の日が続いたせいでいよいよ一人ぼっちになったティンカーベル

JET.COのトゲトゲ曲代表みたいな曲。こちらはNormalぶり。

 

センチメンタルピリオド

「そしてひとつずつを踏み締めてる そのスタイルはどうでしょう」

短めのセッションを挟んでのセンチメンタルピリオド。カウントダウンぶり。今や聴ける機会はそう多くないけれど、9年前とかだったらもっと頻繁にやっていたんだろうか。フェスとかでやっていたイメージがある。

 

ドラムソロ

「俺も再現しちゃおっかなー」の一言から始まったドラムソロ。

もともとの手数の多さにストロボ発光みたいな照明も相まってほぼ手元は目で追えなかった。今の貴雄さんのドラムソロのほうが緩急はっきりしている印象だけれど、これもやっぱり阿修羅だった。

 

ガリレオのショーケース

ドラムソロが終わって両脇から2人が登場。ここのギターソロの御三方、感情が爆発したみたいな演奏をしていてめちゃくちゃ楽しかった。

 

10.シャンデリア・ワルツ

「ちゃんと名前もある 譲れないものもある」

ガリレオでヒートアップしたところにシャンデリア・ワルツを持ってこられたらテンションが上限値まで振り切ってしまう。ぴょんぴょん飛び跳ねる人が続出したみんな大好き定番曲。こんなん誰だってゴリラになるで。

 

11.クローバー

「君がここに居ないことで あなたがここに居ないことで 回ってしまう地球なら 別にいらないんだけどな」

(on the)SEATでトップバッターを飾ったクローバー。ゴリラになっても、この曲のイントロが流れてきたらすっと聴く体勢が整うから不思議だ。会場も聴き入るように身体を揺らしていた。

最後のアルペジオ的なアレンジはなしで、原曲と同じような締め方。

 

12.シュプレヒコール~世界が終わる前に~

「でも今世紀には 今世紀のやり方がある」

「エメラルドが無意識にゴミ箱へ」

「何度でも何度でも ここに立って、そして あなたの名前を呼ばなくちゃ 夜が明ける前に」

「声が枯れても繰り返さなくちゃ 世界が終わる前に」

クローバーから"聴かせる"曲が続く。この曲がもともと持つ切実な叫びが心に刺さって思わず泣いてしまった。"名前"がテーマになっている「CIDER ROAD」の一つ前、3rdアルバム「Populus Populus」を締める一曲であるが、この曲も存在証明のようにあなたの"名前"を呼ぶことをやめない。たとえ声が枯れても。

fth7最終日以来の披露とのこと。

 

13.cody beats

「夜が明けないのを 誰かのせいにして 僕は君を見失ってた」

これは舞洲ぶり?UNISON SQUARE GARDENにしてはちょっと珍しい"直球です"、みたいな素直さがいじらしくて好きな曲だ。MVのエレベーターみたいに、暗い海の底からどんどん上昇していくようなひたむきなエネルギーを感じる。

 

14.オリオンをなぞる

「ココデオワルハズガナイノニ」

Normalで2曲目を飾ったオリオンが本編ラスト2番目で登場。みんなこれが好きなんでしょ?って言わんばかりのいいポジションに組まれている。はいそうです、私も好きです。

そういえばタイバニは2022年に続編シリーズが決定したけれど、harmonized finaleで最後って言ってたしアイワナも作っちゃったしその主題歌の担当はしないのかな、とずっとそわそわしている。またシュテルンビルトにユニゾンの音楽が鳴ってくれたら嬉しい。

 

15.場違いハミングバード

毎度ながらステージを駆け回る田淵が印象的で、左右だけでは物足りないのかドラム台のまわりをくるくるしていた。

いつの日か斎藤さんが言っていた「田淵は止まったら死んじゃうマグロなんでしょ」を思い出してちょっと笑ってしまったけど、こんな爆発的なイントロだったら走っちゃうよなぁ。

4/1だったので"エイプリルフール"がとてもタイムリーだなとかなんとか。

 

 

本編が終了し一旦はけた後、拍手に応えて再び登場した3人。

 

MC

斎:このツアー結構長いよね?

田(めちゃめちゃ頷く)

斎:何月だっけ?

田:(指で5、と答える)

斎:あー5月かー。長いよね。…おれ襟足伸ばそっと。

(笑い。田淵の笑い声も拾われてた)

斎:貴雄も髭と髪つなげるのやってみる?

鈴: (スタッフさんとセッティング中でしゃべれない)

斎: (鈴木を見て笑う)

鈴:いやぁ、ドラムも再現しようと思って。

 

シンバルの位置は今のほうが低い。というより、セッティングしていたシンバルが顔の高さと同じかちょっと高いくらいだったから、当時が高すぎたって言うほうが正しいんだろうな...

記事の冒頭で引用したユニゾン公式Twitterの写真にもドラムセットが写っているのでよければ見てみてほしい。すぐ分かると思います。

あとセッティング中だったか、35歳のお腹出てる!出てるよ!とくすくす笑っていた。貴雄さん曰く"サービス"だそうで。

こんなやりとりが繰り広げられていたものの、やはり叩きづらいのか、曲の直前でちょっと位置を下げていたような。それを見てか斎藤さんが歌い出しで笑ってしまっていた。

 

1.アイラブニージュー

「つまり今夜のライブも最高ですわ」

MMMツアーのカオスなイメージが強すぎるのだが、今回は通常運転。ギターソロで田淵と斎藤さん2人が接近してやっぱりバチバチにやっていた。ギターソロで前に出すぎて「噂の」に間に合わない斎藤さん、しっかり確認しました。

 

2.サンポサキマイライフ

「くだらない? それなら笑ってよ」

(in the)HOUSE 2ぶり。うねうねしたイントロからハイ!の一言で会場まだ熱を隠し持ってたんかいというくらい盛り上がっていた。ギターソロの斎藤さんめちゃくちゃ楽しそうに演奏するので見ていて気持ちがいい。

 

3.kid, I like quartet

ラスト!の掛け声から始まった喜怒哀楽。こちらはfun time HOLIDAY ONLINEぶり。ユニゾンの3人も、会場も、残り全部出し切るみたいな演奏と盛り上がりで有終の美を飾った。as you like!でスパッと気持ちよく去っていくのがかっこいい。

そういえば帰り道、ホール近くの川沿いの夜桜もとても綺麗だった。

 

 

 

全体の感想・まとめ

「このツアー、楽しいな」

MC冒頭で斎藤さんがちょっとはにかみながら言っていた。

ツアー直前のブログで田淵は

「驚きもクソもないライブ」

とこのセットリストをダサいとか苦しいとか書いていたけれど、9年前に戻った気持ちになったと言っていた本人たちだけでなく、初見の著者でもやいのやいの楽しめたのだからめちゃくちゃいいライブだった。

昨今のB面ツアーやオンラインライブなどでレア枠の曲や何年も前に発表されたものの披露されたことのなかった曲などを結構回収していたからこのツアーで久々の演奏になった曲はそんなになかった。

それでもなおレア枠に変わりない曲たちが聴けてお得感があったし、なにより田淵があまり好きじゃないとか恥ずかしくなるとか言って何年もお預けになっていたJET.COの曲を聴ける機運がこのごろ高まって来ているのはファンとして嬉しい。

会場について、感染対策のために座席は一つ飛ばしで座ることになっていたのだが、その分ひとりあたりの使えるスペースも広くてよくユニゾンが言っている「自由に楽しむ」が実現しやすい環境だったと思う。自分の見たい景色に没頭することも、のびのびと身体を揺らすこともできて、これは逆にメリットなんじゃないだろうか。

内容に関しても、もとよりUNISON SQUARE GARDENの曲はキラーフレーズがたくさん仕込まれたものだらけではあるのだけど、9年前のとは思えないくらい”今”の私たちに響いてくるセットリストだった。

現状への不満や虚しさを私たちに代わって言葉にしてくれて、でも生きろよ、とぶっきらぼうに背中を押された感じ。

なにより画面越しではなく目の前に3人がいて、イヤホンではなく直接身体で音楽を浴びて、ユニゾンは本当に生きていたんだ!と感動したのと同時に、ああ、私も生きていたんだ、と気付かされた。

オンラインライブにもそこにしかない楽しみ方や醍醐味があって好きだ。晩酌しながらとかごろごろしながらとか、自宅だから人目を気にせず見られるし、音響や映像の環境をそれなりに整えておけば満足のいく音楽体験も十分できるだろう。

でもやっぱり全身で音楽を浴びるのって良いよなあ、と私の生活には"生"を確認する対面ライブが欠かせないことを実感した1日だった。